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遺言の種類

遺言には、次の種類があります。通常は普通方式によって遺言しますが、普通方式に寄ることができない場合は、特別の方式により遺言をすることが許されます。

【普通方式】

①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言

【特別方式】

④死亡危急者の遺言
⑤伝染病隔離者の遺言
⑥在船者の遺言
⑦船舶遭難者の遺言

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が、遺言全文・日付・氏名を自署し、押印することによって作成可能なものです。

メリットとしては、手軽に作成できること、内容を誰にも伝える必要がないことです。

デメリットとしては、紛失・改ざん・隠蔽のリスク、内容に不備があって要件をみたさず無効となるリスク、遺言作成時に認知能力がなかったとして遺言が無効となるリスクがあることです。

確実性を重視する場合は、次の公正証書遺言をおすすめします。

公正証書遺言

公正証書遺言は、証人2人の立会いの下、公証人が遺言内容の聴き取りながら作成する遺言です。なお、作成場所は公証役場である必要はなく、遺言者が病気・高齢等のため公証役場に赴くことができない場合は、遺言者の入院先や自宅に出張してもらうことも可能です。

メリットは、作成した遺言書は、公証役場に保管されますので、紛失・改ざん・隠蔽のリスクが低いことです。また、公証人が遺言内容や遺言者の認知能力を一応確認して作成しますので、遺言書が無効となるリスクも自筆証書遺言に比べて低いと考えられます(ただし裁判で無効となった公正証書遺言もあり、絶対的に有効というわけではありません)。

デメリットとしては、公証役場に戸籍等の必要書類を提出したり、公証人とのスケジュール調整をしなければならないので、すぐに作成できるわけではないことと、手数料がかかることです。

遺言公正証書の作成費用は、次のとおりです。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1000万円以下 17,000円
1000万円を超え3000万円以下 23,000円
3000万円を超え5000万円以下 29,000円
5000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5,000万円までごとに1,100円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

※全財産の額が1億円以下の以下のときは、上記の額に11,0000円加算されます。
※公証人に出張してもらう場合は、上記の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と交通費がかかります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を2人の証人と同行して公証役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらうものです。証人と公証人には遺言の内容を見せず、遺言書があるという事実だけを確実にすることが目的となります。

自筆証書遺言と異なり、自署による署名・押印があれば、他の内容はパソコンや点字で作成でき、第三者が代筆することも可能です。

メリットは、遺言内容を誰にも知られず、遺言があることを認識させられることです。

デメリットは、内容に不備があり無効となるリスク、遺言書自体は持ち帰って保管する必要があるため紛失・改ざん・盗難のリスクがあることです。

なお、手数料として11,000円がかかります。

特別方式の遺言

特別方式の遺言は、遺言者が普通方式遺言をすることができるようになったときから6か月間生存するときは、効力を失います。

死亡危急者の遺言

疾病その他の事由によって死が目前に迫っている場合に利用できる方式です。

3人以上の証人の立会いのもと、遺言者が口頭で遺言内容を証人の1人に説明し、それをその証人が筆記して遺言者および他の証人に読み聞かせまたは閲覧させ、各証人が署名・押印する必要があります。

ただし、遺言書作成日から、20日以内に、証人の1人または利害関係人が家庭裁判所に遺言の確認の審判を申立てなければ、効力を生じなくなってしまうので注意が必要です。

伝染病隔離者の遺言

伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある者が、警察官1人および証人1人の立会いのもと、遺言者が遺言書を作成し(代筆可)、遺言者・代筆した者・警察官および証人が署名・押印することによって遺言する方式です。

在船者の遺言

船舶中にある者が、船長または事務員と証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言書を作成し(代筆可)、遺言者・代筆した者・立会人および証人が署名・押印することによって遺言する方式です。

船舶遭難者の遺言

船舶遭難の場合に、船舶中にある者が死亡の危急に迫っているときに、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口頭で遺言し、証人が遺言内容を筆記して署名・捺印することによって遺言する方式です。

死亡危急者の遺言と異なり、20日以内にする必要はありませんが、遅滞なく家庭裁判所に確認の請求をしなければ、効力を生じないので注意が必要です。

まとめ

以上のとおり、通常は普通方式によって遺言することとなります。

費用をかけたくない場合は自筆証書遺言を選択し、確実に遺言内容を実行したい場合は公正証書遺言を選択されることをおすすめします。

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