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【Q&A】公正証書遺言はいつまで保管されるのですか?

2025.02.21

公正証書遺言の原本は、公証役場で一般的に140~170年間にわたって保管されます。ただし、保管期限内でも公正証書遺言が無効となるケースもあることに注意が必要です。

1.公正証書遺言の保管期限

公正証書の保管期限は公証人法施行規則27条で定められており、原則として20年とされています。ただし、「特別の事由」により保存の必要があるときは、その事由のある間、保管されます。

公正証書遺言は「特別の事由」に該当すると考えられているため、20年で破棄されることはありません。実際の保管期限は公証役場によって異なることもありますが、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間は保管される取り扱いとなっています。

公証役場が遺言者の生死を調査することはありませんので、一般的に公正証書遺言は140~170年間にわたって保管されているといえます。

遺言者の生前に公正証書遺言の原本が破棄されることは絶対にありませんので、若い方でも、積極的に公正証書遺言の作成を検討してみるとよいでしょう。

2.公正証書遺言が無効となるケース

公正証書遺言は、公証人という公職の専門家が作成するため無効となるケースは少ないですが、それでも、以下のケースでは無効となる可能性があります。

・遺言者が認知症など遺言能力を欠いていた
・立ち会った証人が不適格であった
・遺言者から公証人への口授を欠いていた
・詐欺、強迫、錯誤により真意とは異なる遺言をした
・遺言の内容が公序良俗に反する

特に、意思能力が低下した高齢の方が公正証書遺言を作成する場合には、遺言能力が保たれているかについて注意しなければなりません。場合によっては相続開始後、一部の相続人から遺言の無効を主張され、遺言無効確認請求調停や訴訟に発展するおそれもあります。

その他にも、遺言をした後に相続財産の内容や相続人の構成が変化したことにより、公正証書遺言の内容が実態と合わなくなり、無効となることもあります。

無効と判断されると、公証役場で原本が保管されていても、その遺言に従って相続手続きを進めることは難しくなります。

3.公正証書遺言の作成は弁護士にご相談を

公正証書遺言の保管期限を気に病む必要はありませんが、無効になってしまうと、ご自身の意志を死後に実現することができません。

有効かつ適切な内容の公正証書遺言を作成するためにも、まずは弁護士へご相談ください。

この記事を担当した弁護士
堺鳳法律事務所 代表弁護士 笹倉拓人
保有資格弁護士、税理士、宅建士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、M&Aシニアエキスパート
専門分野相続|不動産|離婚
経歴神戸大学経営学部 卒業|大阪市立大学法科大学院 修了|2012年:弁護士登録(65期)|大手法律事務所勤務を経て2018年10月に堺鳳法律事務所設立
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