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『この遺言がどうしても親の意思とは思えないんです』

よくある遺言に関するご相談内容

遺言の内容に納得できない!

父が残した「自筆証書遺言書」に「相続財産の全部を、長男に譲る」と記載されていました。内容としては、父が再婚した妻とその間の子に全財産を相続させたい。前妻との子(私)には財産を渡さない、というものでした。

1 遺言の有効性の確認
このようなケースでは、まず遺言の有効性を確認します。遺言が無効となれば、法定相続分(ここでは2分の1)を取得できる可能性があるためです。
⑴ 自筆証書遺言の有効要件
自筆証書遺言は、次の要件を欠くと無効となります。(ただし⑤を欠いても必ずしも全体が無効になるわけではありません)。
① 全文を自署すること(2019年1月13日以降は、財産目録はパソコンでも作成可)
② 日付が明確であること
③ 氏名を自署すること
④ 押印すること
⑤ 加除その他の変更がある場合は、変更箇所に押印し、どこを訂正したか記載して署名すること
⑵ 遺言能力を欠いていないか
また、遺言当時、遺言者に遺言能力(遺言内容と、遺言の結果を理解しうる能力)がなかったのであれば、遺言が無効になります。
認知症の診断を受けていなかったどうかや、その程度なども確認しましょう。

2 遺留分
次に、遺言が有効であったとしても、兄弟姉妹以外の相続人は、「遺留分」をもらえる可能性があります。
遺留分とは、遺言によっても侵すことのできない権利で、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人となる場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1を受けることができます。ただし、遺留分権利者が生前贈与を受けていた場合は、その時期・金額によっては遺留分を受けられないこともあります。
また、遺留分侵害額請求には時効があります、権利行使ができなくなってしまうため、早めに権利行使をしておくようにしましょう。

3 こちらの事例の場合
今回のケースでは、遺言が有効であったとしても、遺産の4分の1を遺留分として受けられる可能性があります。

父親が本心で書いているとは
思えない !

母が亡くなり、自筆の遺言がでてきました。しかし遺言書を書いた当時、母は高齢で、認知症の診断は受けていなかったものの、判断能力はなかったと思われます。母の死後、何ヶ月か経ち、父から公正証書遺言があるといってコピーを渡されました。当時持病で入院してた父が、母の遺言を確認できたはずはありません。

1 遺言能力について
遺言能力を欠く者がした遺言は、無効となります。遺言能力とは、遺言内容と遺言の結果を理解しうる能力をいいます。
遺言能力の有無は、個別の事案ごとに、あらゆる事情が総合的に考慮されて判断されます。 裁判例では、遺言内容の複雑性や合理性、年齢、心身の状況、遺言前後の言動、日頃の遺言についての意向、人間関係、前の遺言の有無、前の遺言を変更する動機・事情の有無、などが考慮されています。

そのうち最も重視されているのは、遺言者の精神能力です。
主治医の診断や看護師の日誌、鑑定人の鑑定などが有力な証拠となります。裁判例では、長谷川式簡易知能評価スケール(30点満点で20点以下は認知症の疑い)の点数が挙げられることも多いです。
介護者の日記なども、内容によっては証拠となり得るでしょう。

2 こちらの事例の場合
そのため、今回のケースのように認知症の診断を受けていない場合、カルテ(診療録)や介護者の日記などから、本人の精神能力等を立証できるかが重要となります。

遺言書は明らかに、
父親の文字では無い!

亡父の遺言書を確認したところ、明らかに父の筆跡ではありませんでした。父の自筆証書遺言の検認を申し立てた、遠方に住む兄を疑っています。どうすれば良いのでしょうか。

自筆証書遺言は全文自署することが必要ですので、他人が書いたものは無効となります。
そのため、遺言書の筆跡が明らかに本人の筆跡と異なるのであれば、遺言書を無効として、法定相続分に従って遺産を分けてもらうことができると考えられます。
父の筆跡を立証するためには、父の日記やメモ、役所・病院などに父が提出した書類が残っていないかどうか等を調査します。
こうした調査のうち、外部機関に対する調査は、弁護士にご依頼いただくことが可能です。
また、場合によっては、専門業者に筆跡鑑定を依頼することもあります。

なお、兄が父の遺言書を偽造したということでしたら、兄に有印私文書偽造罪(刑法159条1項)が成立する可能性があります。

当事務所の新型コロナウイルスへの感染対策

  • 面談前後の消毒

    面談前後の消毒

    手などが触れる場所については適宜アルコール消毒をして、消毒を徹底しています。

  • 換気の実施

    換気の実施

    感染対策のため事務所の部屋を窓を開けて定期的に換気を実施しています。

  • スタッフのマスク
    着用

    スタッフのマスク着用

    面談ではお客様と対面でお話をするため、飛沫防止の観点から、スタッフは常にマスクを着用しております。

  • 面談時の仕切りを
    設置

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    飛沫接触防止の観点から、面談時は仕切りパネルを設置させていただいております。

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遺言無効主張の流れ

遺言無効主張の流れ 遺言無効主張の流れ
遺言の内容が無効であるかどうかの事前調査とは?

遺言無効を立証するには、資料の収集を行い、遺言者の状態と意思能力を把握する必要があります。収集した資料をもとに、遺言無効の主張をすべきか否か、裁判で勝訴する見込みを弁護士が分析・判断します。
当事務所では、関係する資料の収集、遺言の有効・無効の可能性の判断を事前調査として受任しております。
弁護士は、事前調査の結果を踏まえて、遺言無効を主張できるか否かをご依頼者にお伝えします。

自分の主張が認められた!

遺言が無効になった場合

遺産分割協議
行いましょう

遺言が無効になった場合、あらためて遺産の分割方法を決める必要があります。
遺言無効確認訴訟で争った後に相続人同士で遺産の分け方について協議を成立させるのは困難と思われますので、速やかに遺産分割調停を申し立てて解決を目指すのが良いでしょう。

自分の主張が認められなかった…

遺言が有効になった場合

遺留分侵害額請求
を行いましょう

遺言が有効と判断されてしまった場合は、遺留分侵害額請求を行うことになります。
ここで注意すべき点は、遺留分侵害額請求権は1年間の消滅時効にかかってしまう点です。その1年間を過ぎてしまうと遺留分侵害額請求権は認められませんので、遺言無効確認請求訴訟を提起するとともに、仮に遺言が有効とされた場合に備えて、予備的に、遺留分侵害額請求権を行使しておく必要があります。

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遺言の内容や作成状況に納得できないと思ったら

まずは、遺言内容の事前調査を
行いましょう

当事務所では、以下のような方法で
遺言の有効性を調査するサービスを行なっています。
遺言の有効性に疑問を感じておられる方は是非ご利用ください。
調査方法
署名等の偽造を疑う場合
●筆跡鑑定業者への依頼代行

遺言の筆跡が本人のものとは違うということであれば、遺言作成当時の遺言者の他の筆跡を資料として筆跡鑑定業者に依頼して、鑑定書等を作成してもらうことにより、筆跡が本人のものとは違い偽造されたものであることを立証する必要があります。

遺言能力(意思能力)の有無を疑う場合
①遺言能力(意思能力)の有無の判断基準

遺言が作成された場合でも、遺言作成時の遺言者に遺言能力(意思能力)があったか否かが問題となることがあります。
もっとも、認知症であるからといって直ちに無効となるわけではなく、認知症の程度がどの程度重いか、遺言の内容が単純なものか否かなどの諸事情が総合的に考慮され、遺言能力の有無が判断されることになります。
②カルテ等の取寄せ及び協力医に対する意見照会
介護記録、医療記録(カルテ)、介護保険認定調査票などの記録の開示を依頼し、場合によっては協力医に意見をいただきます。

取得した資料を元に

遺言無効の主張をするか否かの検討

※当該遺言が無効か否かについては、最終的には訴訟において裁判官が判断することになりますので、当然ですが、遺言無効を主張したとしても認められない場合があることはあらかじめご了承下さい。

弁護士に依頼するメリット
面倒な証拠収集を代行

遺言の無効を主張するには、多くの証拠を集める必要があります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を全て取得し、法定相続人全員の戸籍を集めるという大変な準備が必要です。遠隔地ですとさらに時間も費用もかかり、住所を調べるだけでも一苦労です。
この点、弁護士は、職務上の権限があるため、効率良く戸籍謄本等を収集することができます。

また、その他の証拠資料(筆跡鑑定業者の鑑定書やカルテ等の診療記録、介護認定調査票等の資料等)の収集も依頼することができます。

裁判所における検認手続きに参加できる

(自筆証書遺言の場合)

遺言書検認の申立てのご依頼もお受けしています。法定相続人を調査する手続は司法書士さんでもやっていただけますが、家庭裁判所における検認手続に代理人として参加することができるのは弁護士だけです。

また、「検認」後に遺言書の法的有効性を争う場合、裁判のための書面作成や裁判手続の対応等を含めて的確なアドバイスをしてくれるのは弁護士しかいません。

万が一、遺言が有効と判断された場合に備えて、

遺留分侵害額請求も併せて
主張できる

遺言無効確認請求訴訟を提起する場合、訴訟のみならず、その後の遺産分割や遺留分侵害額請求が必要となります。また、遺留分侵害額請求権の時効や相続税申告の期限もありますので、できる限り、弁護士と相談しつつ、慎重に方針を決定することをお勧めします。

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遺言の事前調査を弁護士が
進めます!

遺言無効を主張する案件は難易度が高い

遺言無効を主張する案件は、相続分野の中でも難易度が高い案件です。そのため、弁護士の経験や実力によって結果が左右されてしまいます。遺言の無効を争う場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談・依頼しましょう。
当事務所の代表弁護士は、4年間家事調停官(非常勤裁判官)として勤務し、4年間で700件以上の事件を処理し、そのうち約100件程度の相続事件を解決してきました。この調停官としての経験こそが、他の弁護士と最も異なる当事務所の最大の強みであると自負しております。

参考例①
納得できない遺言が出てきた場合
遺言書

事案概要

遺言書

亡き母の死後1年以上経ってから見つかったのは全財産を遺贈する旨の自筆証書遺言。遺言書を発見した人は疎遠な兄弟であり、筆跡が母親のものではないのではないかなど、いくつか不審な点がありました。そのとき、既に、その兄弟から、遺言に基づき、土地所有権の移転登記を求める訴訟が提起されており、その対応をどうするか、決めなければなりませんでした。

弁護士の対応

事前調査を行った結果、遺言の無効主張をすることが困難と判断し、裁判では、遺言の無効を主張しつつ、仮に遺言の無効を立証するのが難しいようであれば、予備的な主張として、遺言が有効であることを前提に、遺言により侵害されている遺留分の侵害額請求権を行使し、一定の金銭の支払いを求めるという方針で訴訟を進めることになりました。

ポイント

遺言の有効性について、怪しいと思わせる不自然・不可解な点が数多く存在しましたが、実際に遺言を無効にすることのハードルが相当高いため、遺言無効請求と遺留分請求を同時に訴訟で行うこともあります。

参考例②
第一審判決に不服がある場合
遺言書

事案概要

遺言書

亡くなった父親の相続人は、長男であるAと妹Bの二人でした。
父親の遺品を整理していたところ、日記を発見しました。その日記を読んでみると、「俺の財産はAにやる。Bには絶対に渡さない。」という記載と認め印による押印があることを発見しました。
しかし、遺言には年月日を記載しなければならないのですが、その日記の記載には、年月日の「年」の記載があとから加筆されているような形跡がありました。Aは、家庭裁判所に遺言書の検認の申立てをし、その後、遺言執行者選任の申立てをして、ご自身が遺言執行者に選任され、父親の遺産である不動産について、「遺贈」を原因とする所有権移転登記も完了していました。
そこで、この日記の内容に納得がいかない妹Bから、遺言無効確認訴訟を起こされてしまいました。審理の結果、裁判所は、自筆証書遺言の要件を満たしていないとして遺言は無効と判断し、Aは敗訴してしまいました。

弁護士の対応

本件の争点は、「日記の記載について、「年(西暦あるいは和暦)」の自署を欠き、遺言として無効であるか」という点でした。
遺言書の作成において、形式(方式)を遵守することが重要であることに異論はありません。
しかし、その要件の充足をあまりにも厳格に求めることは、せっかく作成された遺言書が無効になる機会が増え、遺言者の遺志に反することになりかねないことになります。
遺言者である亡き父が、年月日の「年」の記載を失念し、あとから加筆したことは、明らかな誤記の訂正と異なるところはないといえます。なぜなら、「年」の記載を失念して、あとから加筆した日記において、民法所定の方式の違反があったとしても、遺言者の意思を確認するについて支障がないからです。
また、自筆証書遺言は年月日が特定されている必要があるところ、年月日の「年」の記載がないということは、遺言書が未完成の作成過程であり、遺言者である亡父が「2016」という「年」の記載をすることで、はじめて、日記は、自筆証書遺言として有効に成立したものとみることもできました。

ポイント

たとえ一審で敗訴しても、多くの裁判例や文献を徹底的に調査し、緻密な論理構成を駆使して粘り強く主張を展開したことが、控訴審での(勝訴的)和解につながったと考えています。

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遺言無効事前調査の
弁護士費用

遺言有効性の簡易調査

10万円(税込11万円)

※遺言の偽造変造の可能性の調査(筆跡鑑定)の基礎資料の取得など、被相続人の遺言作成能力に疑問がない場合の簡易調査を行います。

遺言有効性の調査

20万円(税込22万円)

※介護記録、医療記録など資料の取り寄せ請求について、請求先1箇所について17,600円(税込、実費別)の手数料が発生します。
※取り寄せた資料をもとに協力業者に協力医を紹介してもらい、医師の鑑定書や意見書を作成してもらいます(別途費用が必要)。
※調査に続いて相手方との交渉又は訴訟手続をご依頼になる場合、別途、交渉又は訴訟手続の着手金等を頂戴いたします。

よくあるご質問

遺言無効を主張するには、
どんな証拠が必要ですか?

遺言内容を立証するために、まず遺言書が必要になります。遺言書が手元になく、公正証書遺言が作られたことがわかっている場合は、公証役場で遺言検索をしてもらい、公証役場に保管されている原本の閲覧または謄本の交付請求を行います。
本人の認知能力を証明するためには、診断書、カルテ、長谷川式簡易知能評価スケール等の検査結果、介護認定資料や介護記録、本人の様子を撮影した動画や写真、当時の状態を証言してくれる証人などの証拠が必要になると考えられます。これらすべてが必要というわけではなく、組み合わせて立証できればそれで足ります。
カルテや介護認定資料等は弁護士の方で収集が可能です。

遺言で遺言執行者に指定されて
いましたが、遺言無効を主張する
場合どうしたらいいですか?

裁判所に遺言が無効であることを確認してもらうために、訴訟提起する方法が考えられます。裁判例では、遺言執行者が原告になることが認められています。
ここで、遺言に関する事件は家事事件ですので、原則として、訴訟の前に調停を申し立てることが必要とされています(これを「調停前置主義」といいます)。
しかし、例外として、裁判所が調停に付することを相当でないと認めたときは、最初から訴訟を提起することが認められています。
遺言無効については、話合いの段階で決着がつかなかったのであれば、調停をしても合意に至る見込みはないため、最初から訴訟を提起することが認められるケースが多いです。

公正証書遺言の有効性を争うこと
はできますか?

可能です。
公証役場で作成されたものなので争えないと考えがちですが、裁判で無効になっている公正証書遺言はいくつもあります。
公証人は医学の専門家ではなく、公正証書遺言作成時に認知機能の検査をするわけでもないため、そのようなことが起こると考えられます。
ただし、第三者であり法律の専門家でもある公証人が関与して作成した遺言であるため、無効となるのは、相当の根拠がある場合に限られると思われます。

遺言書作成にあたり意思能力は
どう判断される?

遺言も一種の意思表示であるため、意思能力が必要とされます。
特に、遺言者が高齢者の場合、判断能力が低下し意思能力を欠いていたことを理由に遺言の効力が争われるケースが少なくありません。
そのため、意思能力が問題となりうるような場合には、遺言者が正常な判断能力であったことを裏付ける証拠を残しておくなどの配慮が必要になります。
具体的には、①主治医に長谷川式簡易知能評価スケール(30点満点で20点以下は認知症の疑い)を実施してもらい、結果を診断書等に記載してもらう、②遺言者との会話をビデオ撮影する(あるいはビデオレターを残す)、といった方法がとられます。

遺言の有効性を争う場合でも、
遺留分請求はしないといけない
のでしょうか?

基本的にはしておくべきです。
というのも、遺留分の請求には時効があり、
① 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年
② 相続開始の時から10年
のいずれかを経過した時点で、請求できなくなるためです。
遺言の有効性を争う裁判は長期間かかることも多いため、仮に遺言無効の主張が認められず、遺留分を主張することとなったとしても、裁判をしている間に時効期間を経過してしまう危険があります。

なお、遺留分の請求をする方法としては、内容証明郵便にて、遺言が無効であることを通知するとともに、「万一遺言が有効である場合は遺留分侵害額請求権を行使する」等と記載しておくことが考えられます。

アクセス

大阪府堺市西区鳳東町1丁目19番地34
鳳レモンビル2階
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