共同住宅(マンション、アパート等)が遺産に含まれていて、是非とも取得したい。
- 2022.04.06
以下の記事は,共同住宅が賃貸物件であることを前提とします。
1.事前に確認すること
⑴ローン残高
共同住宅を取得する際,被相続人が相続対策の一環として銀行等でローンを組んでいることがあります。ローンやその抵当権が残っているかどうかは,金銭消費貸借契約書,通帳,不動産登記簿などで確認しておきましょう。 共同住宅の価値がローン残高を上回る場合は問題ありませんが,そうでない場合は,将来の賃料収入等を考慮して,ローンを承継してまで共同住宅を取得する価値があるのかを検討する必要があります。 場合によっては,共同住宅の取得を断念したり,他にめぼしい財産がなければ相続放棄をすることも検討する必要も出てきます。
⑵収益性
築年数が古い物件は,修繕費用等のコストが発生する一方で,賃料は安くなりがちです。この点もよく検討しておくようにしましょう。
2.遺産分割協議
遺言書がない場合,共同住宅を取得するには,まず相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。 (遺言書がある場合でも,相続人全員の合意によって遺言書と異なる分け方をすることもできます。) 遺産分割協議とは,遺産のうちどれを,誰が,どの割合で取得するのかを話し合うことです。
遺産分割協議が成立したら,遺産分割協議書を作成します。相続登記をするためには,実印で捺印し,印鑑証明書を取得する必要があります。 なお,共有名義にするのは,後々,賃料の分配や売却を巡ってトラブルになることがありますので,避けるべきです。
3.相続発生後の賃料
「賃料収入がある土地や建物があるので、賃料の分配を受けたい。」をご参照ください。
4.相続登記
遺産分割によって共同住宅を取得することになったら,早めに,登記名義を被相続人から取得者に変更しましょう。これを相続登記といいます。 相続登記が遅れると,他の相続人が勝手に持分を譲渡して登記してしまうことも考えられますので,なるべく早く相続登記をしておくことが望ましいです。
5.保険契約の確認
共同住宅に火災保険等の保険をかけている場合は,保険会社に連絡して,契約の変更等の手続きをしておく必要があります。 なお,解約返戻金がある場合は,それも遺産分割の対象となりますので,解約返戻金の有無を確認しておきましょう。
6.賃貸借契約の確認
共同住宅の所有者が相続人に変更された場合,賃貸人としての地位も承継されますので,賃貸人が変更となる旨を(連絡先や振込先を変更する場合はその旨も)賃借人に通知しておきましょう。 また,被相続人が敷金を預かっていた場合は,相続人が,契約終了時に賃借人に返還しなければなりませんので,賃貸借契約の内容を確認しておき,敷金の返還に備えておくようにしましょう。